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六兆年と一夜物語(オリジナル) No.5 帰り道の足音

  • 桜華。
  • 2017年11月9日
  • 読了時間: 2分

「誰も知らないおとぎ話は夕焼けの中に吸い込まれて消えてった・・・か」

昔_それほど遠くもない昔、おばあさまが歌ってくれた歌。

私にぴったりだからと何度も歌ってくれた歌。

もう一人、ぴったりな人をみつけました。

消えたトンネルを探し歩いた帰り道。

聞きなれた足音が聞こえる。

”警戒すべき”

慣れと本能が教える。

私は気にせず進む。

仕方がないから日常に戻るだけだから。

私は何も知らなかったのだから。

私は何も聞かなかったのだから。

私は何も見なかったのだから。

あれは、気のせい。

嫌になった自分現実逃避。

ここで何を言われようとも、ボロボロな心はこれ以上ボロボロにならないのだから。

「白亜、白亜じゃん。こんな時間に見るなんて今までなかったなあ。」

やっぱり。

忘だから。

「友達の家? それはないかあ。だって白亜には友達どころか、味方もいないんだから。」

私はいつものようにただ歩みを止めないだけ。

返事なんてする必要もない。

言っていることはいつも同じなのだから。

「白亜みたいな白い奴は夜道で目立つから外に出ない方がいいんじゃない?」

いつも思う。

”だから何?”

そんなことを言うとまた面倒くさくなるので私は顔色を変えずに歩くだけ。

「そういえば、知ってる?この”黒い世界”だけじゃなくて”白い世界”もあるらしいよ。その世界ではみんな白色の」

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